最高裁判所第三小法廷 昭和30(オ)860 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人上原秋三の上告理由について。
所論は要するに、本件賃貸借は、(1)昭和二七年七月中の本件土地明渡の調停
申立、(2)昭和二八年一〇月三〇日の本件訴状送達、(3)昭和二九年五月一七
日の口頭弁論期日における契約解除の意思表示、の以上三者のうちいずれかにより
適法に解除の効果を生じたものであると主張する。
しかし、(1)原審は、所論調停の申立によつては、未だ契約解除の確定的な意
思表示または条件附の意思表示がなされたものと認め難いとしているのであつて、
この認定は首肯できる。それ故、右調停の申立により解除の効果を生じないことは
いうまでもない。
次に(2)原審の認定した事実によれば、本件訴状が被上告人に送達された昭和
二八年一〇月三〇日当時には、被上告人に賃料債務の遅滞の責があつたものという
ことを得ない。それ故、右訴状の送達によつては、未だ解除の効果を生じたものと
なし難い。
(3)原審は、被上告人が昭和二四年、二五年、二六年の各年末に賃料を持参し
たが上告人が返還した事実、および昭和二八年一〇月、被上告人は妻をして上告人
方に赴かしめ賃料二千円を提供せしめたが上告人は受領しなかつた事実を適法に認
定しているのである。而して、その后、被上告人が弁済の提供をしても、上告人に
おいて受領の意思のなかつたことは原判文上自ら明瞭である。されば、所論の弁済
供託は有効であり、したがつて、上告人が第一審の口頭弁論期日において解除の意
思表示をした昭和二九年五月一七日当時においては、被上告人に六ケ月分の賃料の
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延滞のなかつたことは明白である。それ故、右解除もその効を生じないことはいう
までもない。
論旨は、すべて理由がない。
よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとお
り判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 河 村 又 介
裁判官 島 保
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 垂 水 克 己
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